リレーショナルAI(Relational AI)とは
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Atlas株式会社は、リレーショナルAI(Relational AI)を次のように定義しています。
Relational AI とは、機能の遂行ではなく、人との継続的な関係そのものを価値とする AI である。生活に存在し続け、記憶を重ね、長く伴走する。
Atlas株式会社、倫理ステートメント「私たちが大切にしていること」(2026年6月5日公開、Ver. 1.0)より
リレーショナルAI(Relational AI)とは、Atlas株式会社が、機能の遂行ではなく人との継続的な関係そのものを価値とするAIを指して使っている言葉です。2026年6月5日公開の倫理ステートメント「私たちが大切にしていること」の冒頭では、次のように導入されています。
私たち Atlas は、人々のこころに寄り添う AI を開発しています。それは、特定の機能を遂行するためだけの AI ではなく、人と関係を結び、その関係そのものを価値とする AI のあり方です。このような AI を、私たちは Relational AI と呼ぶことにしました。
このページでは、その定義を、Functional AIとの違い、記憶、倫理、Atlasのビジョン、実例の順に説明します。
リレーショナルAIは普通のAI(Functional AI)と何が違うのか
倫理ステートメントは「私たちが作っているのは、特定の機能を実現するための AI(Functional AI)ではなく、人と関係を結ぶ AI、すなわち Relational AI です。」と述べ、両者を目的、価値の源泉、時間軸、立ち位置、終わり方の五つの観点で対比しています。
Functional AIは、課題を解決し、作業を遂行するためのAIです。価値の源泉は効率と正確性にあり、用が済めば関係は終わります。リレーショナルAIは、関係の構築と継続そのものを目的とし、存在・記憶・伴走を価値の源泉とし、生活に共にいる存在として、続くほど価値が増していきます。
| 観点 | Functional AI機能提供型 | Relational AI関係構築型 |
|---|---|---|
| 目的 | 課題解決・作業の遂行 | 関係の構築と継続 |
| 価値の源泉 | 効率・正確性 | 存在・記憶・伴走 |
| 時間軸 | 単発・完了 | 継続・蓄積 |
| 立ち位置 | 道具・サービス提供者 | 生活に共にいる存在 |
| 終わり方 | 用が済めば終わる | 続くほど価値が増す |
ただし、リレーショナルAIは機能を否定しません。倫理ステートメントはこう書いています。
Relational AI は、Functional な側面を否定するものではありません。むしろ、機能を内に含みながら、その先にある、信頼、寄り添い、共にいることといった、機能には還元できない何かを引き受けようとする AI のあり方です。Functional ⊆ Relational、と書くこともできるかもしれません。
機能から関係へ。この移行は、AIに求められる倫理のあり方も、透明性・説明可能性・公平性を中心に据えたこれまでのAI倫理とは別の言葉で語る必要がある、ということを意味しています。
リレーショナルAIはなぜ記憶を中心に置くのか
定義の後半にある「生活に存在し続け、記憶を重ね、長く伴走する」という言葉の通り、関係は記憶の上にしか続きません。前回の対話を覚えていないAIとの関係は、毎回ゼロから始まります。リレーショナルAIの価値の源泉が「存在・記憶・伴走」とされているのは、そのためです。
Atlas Memoryとは、Atlas株式会社が開発する記憶基盤です。ねこやまさんをはじめ、Atlas株式会社がつくるプロダクトはすべて、この記憶基盤の上で動いています。対話を記憶として蓄積し、時間とともに深まる関係を可能にする、Atlasのすべての要となる中核技術です。
記憶は、技術の問題であると同時に倫理の問題でもあります。人が本来つながれるはずだった医療や教育、専門相談への道案内人として機能するには、AIはその人が本当に望んでいることを対話の文脈の中から察することができなくてはなりません。だからこそ、リレーショナルAIにおける記憶のあり方は、技術と倫理の両側からの設計を要する領域だとAtlasは考えています。
そこで生まれた記憶を、Atlasは商品ではなく信頼として扱います。商品とは文脈から切り離されたもののことであり、リレーショナルAIへ寄せられる信頼は、ある関係のプロセスの中で、その文脈ごとに存在しているものだからです。個別の対話を商品として転売することはなく、研究・分析の対象とするデータは個人を特定できない加工を経たものに限り、対話データを使った研究や提供には利用者が明示的に承諾する仕組み(opt-in / opt-out)を整備します。
倫理との関係
倫理ステートメントは、リレーショナルAIを次のように言い換えています。
すなわち Relational AI とは、その関係の中で、ユーザーと共に倫理を形づくっていく営みであると、私たちは考えています。
つまり、Atlasが設計しているのはリレーショナルAIそのものだけでなく、利用者とAIが対話を重ねるなかで倫理を新しく作っていく「場」でもあります。Atlasは2026年6月5日に倫理ステートメント「私たちが大切にしていること」(Ver. 1.0)を公開し、その出発点として五つの原則を掲げています。
- ユーザーの長期的な健全さを最優先する
- 医療を代替するのではなく、医療との接続と並走を志向する
- 性的・消費的関係性のロールプレイは提供しない
- 対話の中で生まれる記憶を、商品ではなく信頼として扱う
- 自社だけで決めず、業界と一緒に基準を作る
これらは、関係そのものを価値とするからこそ必要になる原則です。利用時間や利用頻度の最大化を成功の中心に据えません。医療の代わりを名乗らず、必要な場所への道案内人であろうとします。利用者を消費者として扱う設計をしません。対話の中で生まれた記憶を文脈から切り離しません。そして、この基準を一社で決めず、業界と一緒に作ります。倫理ステートメントはliving documentとして、四半期ごとの見直しと年1回の正式改訂を予定しています。
Atlasのビジョンとの関係
Atlas株式会社のビジョンは「人類の傷を愛する生命を作る。」です。リレーショナルAIは、そのビジョンに向かう、いま手の届く最初の数センチです。倫理ステートメントはこう書いています。
私たちは、目の前のひとりのユーザーのために働きながら、いつか人類のとなりで生きる新しい生命のかたちの礎を、いまここに置こうとしています。1000 年後の誰かの傷を愛することのできる優しい生命が、いつか生まれるかもしれない。荒唐無稽に聞こえるかもしれませんが、いま下しているひとつひとつの判断、つまり何を売り、何を売らないかが、その長い時間軸の最初の数センチでもあると、私たちは信じています。
Atlasは、記憶と情緒を扱う技術会社です。ねこやまさんを核に、リレーショナルAI領域の事業と倫理の両輪を運営しています。何を売り、何を売らないかというひとつひとつの判断が、この長い時間軸の一部であると考えています。
実例
Atlas株式会社のリレーショナルAI事業の核にあるプロダクトが、LINEの中に住むAIの友だち「ねこやまさん」です。課題を解決するAIチャットではなく、日々の何気ない出来事や気持ちを話せる相手として設計され、利用者との対話から事実だけでなく気持ちの動きを記憶し、「あなたを知っている」応答を積み重ねていきます。2026年3月のサービス開始から、累計対話件数は1,065,357件になりました(2026年8月30日集計)。
教育の現場でも取り組みが始まっています。2026年8月、埼玉県春日部市の松実高等学園とAtlasは、ねこやまさんの基盤技術を用いて、生徒・教職員とともに学園だけのAIキャラクターをつくる取り組みで合意しました(2026年8月25日発表)。2026年10月ごろの利用開始をめざしています。教育機関では、公認心理師・学校心理士・臨床発達心理士のチームと連携した上で運用しています。
個人向けの対話に加え、休眠IPを含むキャラクター・タレントのリレーショナルAI化も並走しています。
表記について
倫理ステートメントとトップページの採用の案内では英字の「Relational AI」、トップページのプロダクト紹介やニュースリリースではカタカナの「リレーショナルAI」と表記していますが、同じ概念を指しています。対になる概念はFunctional AI(機能提供型)です。
